加賀友禅(かがゆうぜん)

加賀百万石の城下町金沢は、犀川、浅野川の二つの清流にかこまれ、今も緑多き静かなたたずまいを残しております。

良質の水と山と山紫水明、四季折々の細やかに変化する自然に恵まれたこの金沢に、本加賀友禅(かがゆうぜん)は生まれ育てられました。

加賀友禅の特徴

本加賀友禅の特徴は、まず第一に、模様が草花、鳥、山水を主軸とした写生調の大変細やかな絵模様であること。

第二に藍、臙脂、黄土、草、古代紫の一般に加賀五彩といわれる色系統を基調とした多彩な配色。

第三に暈し(特に外側から内側に細かく暈しをつける)と虫喰いの技法。

第四に繊細な糸目糊によって細い白上りの線が装飾的に美しい効果を盛り上げ、本染の味を十分に発揮しているところにあります。

こうした特色を有した本加賀友禅(ほんかがゆうぜん)は、時代とともに模様や色に変化はみられますが、伝統を重んじ創成期における特色を色濃く残している故に、かえって現代の我々にやすらぎとうるおいをあたえ、着る人々の心を強くひきつけてやみません。

一年の大半を雪と雨にとざされた金沢の風土と、辛抱強くおおらかで純粋な加賀人気質の作家達の、ひたむきな美の追求と研鑽によって彩られた伝承本加賀友禅は、永遠のいのちをもちつづけることでしょう。

加賀友禅は、今からおよそ五百年前、加賀地方独特の技法であった無地染の「梅染」までさかのぼります。

これに模様が加わるのは十七世紀中頃のころであり、兼房染や色絵・色絵紋などを総称して、当時は加賀御国染と呼ばれていました。

そして、十八世紀になり斬新なデザインの模様染に、その才能を遺憾なく発揮した、「加賀友禅の始祖」といわれる宮崎友禅斎が金沢に来るに至り、加賀友禅が大きく開花することになります。