喜多川俵二(きたがわ ひょうじ)

喜多川俵二 (きたがわ ひょうじ)有職織物 人間国宝

有職織物で重要無形文化財保持者(人間国宝)の喜多川俵二氏の袋帯のご紹介です。
喜多川俵二氏は、京都・西陣で約500年続く織元「俵屋」の十八代目当主です。
父であり、同じく人間国宝の喜多川平朗氏のもと、有職織物の制作技術を幅広く習得します。
伝統的な有職織物の技術を高度に体得し、1999年 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

有職とは、儀礼や儀式の故実、「きまり事」を表します。色・文様・織の組織などの全てが有職に基づき決められており、それに従って織り上げられるのが有職織物です。
有職織物は、「二陪織物」「綾」「浮織物」「薄物(羅、紗)」など多岐にわたり、“シンプルな文様の美しさ”と“色の調和美”が魅力の織物です。
平安時代以来、皇室や貴族の儀式や年中行事の中で用いられ、今でも皇室や神社の装束(衣装)や調度として使われています。

俵二氏は平成2年に行われた現天皇の即位式および大嘗祭(だいじょうさい)で、両陛下の為に新調された全ての装束しょうぞくの織物を製織しました。
その後は秋篠宮や現皇太子殿下のご成婚の晴れ着も製織します。

平成17年の春に竣工した京都迎賓館には、夏用の薄紅色の紗の小袿こうちぎと冬用の青色地の小袿、また晩餐室(ばんさんしつ)の舞台と客席を隔てる穀で出来た薄い帳とばりや畳の縁へりの裂地も納めています。
また、20年ごとの伊勢神宮の式年御遷宮の御料織物を製織し、前回の平成25年御遷宮時の御神宝は3度目になります。

『有職』というきまり事に従い精緻に織られた作品は、優美で品格に満ち、千年の年月を超えて私たちに日本人の美意識の原点を教えてくれます。

重要無形文化財保持者の袋帯有職織物の人間国宝
こちらの作品は若々しい緑色地に金茶色、白色、深紫色などの菱唐花が規則正しく製織されています。
二重の菱のなかには上下左右に葉が活き活きとシャープに広がり、中心の花びらの愛らしさをより高めています。
菱と菱の隙間には奥行きを醸し出す淡い唐花が隅々まで豊かに織りなされています。
「用の美」を念頭にした物づくりをされる喜多川俵二さんならではの、気品に満ちた美しい出来栄えでございます。