浦野理一 (うらのりいち)

浦野理一 (うらのりいち)

今はもう幻となった染織研究家 浦野理一作 経節紬の大変貴重なお品です。
浦野さんのファンの方や、書籍などで知っておられる方もいらっしゃることと思います。

映画監督・小津安二郎氏の作品で数多くの女優さんが浦野理一さんのお着物を好んで着用されました。
また昭和33(1958)年から翌年にかけて刊行された「幸田文全集」の丁装を手がけ、「幸田格子」と呼ばれました。
昭和40年頃からの雑誌ミセスなどでも作品が掲載され、一世を風靡しました。

鎌倉に住みながら松本に工房を構え、数々の作品を生みだします。
昭和を代表する染織研究家として紬織や友禅など様々な技法を用いた作品を制作しました。
浦野理一さんの手の温もりや研ぎ澄まされた感性が隅々から伺えます。

浦野理一の紬は“瓢箪糸”と言って、国産の節が出る糸を緯も、経にも使います。
節が筬に引っかかりますが、それを詰めて詰めて織るのです。
並の腕では織ることができず、熟練の職人が織りあげていくことができるのです。

しかし、現在では紬に使われる瓢箪糸の供給不足ということもあり、浦野理一の紬はもう制作することができなくなってしまいました。

改めて、浦野理一が残したお着物を眺めると、織に対する飽くなき探究心と着物文化を守り、発展させていくという気概を感じることができます。
深い深い色地には雨絣を大きく拡大したような、絣足がリズミカルにあしらわれたモダンなデザインとなっております。
いつまで眺めていても飽きることなく、浦野理一さんの独自の芸術的感性に虜になります。
“織”と“染”ファンの心を満たす、贅沢な希少品です。