城間栄順 (しろま えいじゅん)本場琉球紅型の特徴とは?

紅型三宗家と言われる、「城間家」、「知念家」、「沢岻家」の一家、城間栄順氏が綾なす本場琉球紅型の逸品です。

顔料と植物染料を駆使し、大胆で華やかに色彩した「紅型」と藍の濃淡で染めた「藍型」に大別出来ます。

華やかな紅型が王族のものであったのに対し、藍型は主に庶民のきものでした。

沖縄では藍型のことを「えーがた」と発音します。

一般的に藍染は合成染料の藍も多く使われますが、琉球藍型は沖縄に自生する琉球藍を使って染めます。

技法的には紅型とまったく同じなので、広い意味でいえば藍型も紅型に含まれます。

しかし華やかな紅型に比べて、藍の濃淡と墨の隈取りで模様を表現する藍型は渋さと落ち着きのあるモダンな見栄えとなります。

城間栄順氏は先代(十四代)の城間栄喜氏の長男として生まれました。

父の栄喜氏はハレの舞台を好まず、ただひたすら『紅型』の復興に力を注いだ人であり、その子栄順氏も父親譲りの職人気質をしっかりと受け継ぎました。

栄順氏は、「海が大好き」で「魚が大好き」、自然をこよなく愛する人です。

その気持ちが作品にも表れ、海、魚、珊瑚など人の手に荒らされていない綺麗な沖縄の海をモチーフにしたものが多く作られています。

その紅型作品一つ一つの細かい柄は、なぜか宇宙のような、果てしない大きな海のような、そんな空間を感じさせるのです。

あの細かい紅型のどこに無限の世界が作れるのか?と不思議になるほど、『果てしない世界』が広がっていきます。それが栄順氏の作る紅型の世界なのでしょう。

父親譲りの職人気質で、手間ひまを決して惜しまない栄順氏。

「良いものを作りたい。」

「自分が納得するものを作りたい。じゃなきゃ俺のオヤジに申し訳けが立たない。」

「いつも思うんだよ、この出来を見たらオヤジはなんて言うだろうって。復興に命を掛けたオヤジに申し訳けの立たない作品は作っちゃならない。職人は仕事場を離れちゃならないんだよ。」

と言いつづける栄順氏。

自分には人一倍厳しく、作品作りには決して妥協は許さない。そして、他人には人一倍優しく、他人に警戒心を持たせず、自分も抱かない。

いつも少年の頃の純粋な気持ちを忘れず、自然体を保ちながら父親の志を一生懸命継いでいる。

沖縄のまばゆいばかりの太陽のように生命力に満ちた文様は、城間栄順氏の作品の中でも特に目の引く芸術品です。

戦後の紅型復興の礎を築いた父・栄喜氏の背中を見ながら育った栄順氏は、父の意思を継ぎ、妥協を許さない頑なな姿勢を貫いていらっしゃいます。

突き彫りによって生まれる線の絶妙な妙技、柔らかさは紅型ならではの特徴といえます。栄順氏は紅型師の中でもおおらかな風合いの表現力が持ち味です。

栄順氏の研ぎ澄まされた感性や、心の豊かさがそのまま純粋に表現されているかのようです。

また、長い年月にわたり伝承されてきた紅型の後継者としての責任や、良い作品を作りたいという真摯な想いが伝わってきます。

琉球紅型
こちらは城間栄順作の本場琉球紅型・九寸名古屋帯です。

薄クリーム色の縮緬地には「赤、黄、青、紫、緑」の5つの染料使いにて、躍動感たっぷりの波の間を菊や水草が泳ぎ、クリクリのお目々の小ふぐが遊泳するとても可愛らしいデザインです。

ふぐが遊泳するとても可愛らしいデザイン
直径2cmほどのフグはお太鼓から手先にかけて約40匹以上も描かれています。

山の部分から手先にかけて、そして腹前にもたっぷりとフグで満たされており、とても福々しい佇まいです。

フグの本場下関では、縁起が良いものとして「ふく」と呼ばれているそうです。

ぷっくりと膨らむキュートなフグは装いのアクセントに大活躍してくれますね。

「海と魚が大好き」城間栄順氏は、自然をこよなく愛する人であり、こちらのお品にも、そんな栄順氏の気持ちが大きく表現されています。

沖縄の輝く太陽、そして海のように鮮やかな文様は、城間栄順氏の作品の中でも特に目の引く芸術品です。

戦後の紅型復興の礎を築いた父・栄喜氏の背中を見ながら育った栄順氏は、父の意思を継ぎ、妥協を許さない頑なな姿勢を貫いています。

突き彫りによって生まれる線の絶妙な妙技、柔らかさは紅型ならではの特徴といえます。

栄順氏は紅型師の中でもおおらかな風合いの表現力が持ち味です。

歯を食いしばり、上を向くトビウオの真剣な表情に、どこか愛らしさも感じます。